脚と鐙と拍車 受け売り乗馬教室先頭ページに戻る

 うまくなれば体重移動(騎座)で馬をコントロールできると言うが、なかなか難しい。それに、初心者はしょっちゅうあっちこちグラグラするので、体重移動に敏感な馬には危なくて乗せてもらえない。ここでは、姿勢の安定のために必須の立ち乗り練習と脚の使い方に関連する事項を説明。

・鐙の踏み方
鐙には浅く足先を掛けて踵を下げる。
・脚の使い方
推進、曲がる、横に寄せる 脚での扶助でいろいろなことができる。半減却の説明もこちらに。
・鐙の踏み変え
乗っている途中で深くなってしまった鐙を浅く踏みなおす方法。
・鐙革の長さの調整
鐙革の長さは馬に乗る前に調整しておくが、乗ってからでも調整できる。
・拍車の使い方
拍車の付け方、使い方。


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 最初のうちは、踵(かかと)を下げろといわれても、いつのまにか鐙に奥深くつま先が突っ込まれて、下げるどころではない。浅く踏み直してと言われても、そう簡単には踏み直せない。

 けれども慣れればいつのまにか、踏み直しも簡単にできるようになる。とにかく数を踏んで慣れることが一番。


・踵の上げ下げと脚の力
つま先が下がると力がでない このように踵を上げて、つま先を下げて鞍に跨ると、
脹脛で馬体を挟んで圧迫する方向には力を出しにくい。

 つま先を下げた姿勢では、力強い脚の扶助が出せないことが判る。

脹ら脛パワー この絵は右足の脹ら脛(ふくらはぎ)をやや足を開き気味に前に投げ出して上から見た図。

 足の甲を脛とほぼ一直線にした状態(鞍上でつま先を極端に下げて踵を持ち上げた状態と同じ)では、脹ら脛の筋肉はだらんとして膨らみがほとんどない。

 しかし、足首に角度を付けて足の親指を持ち上げるようにして、足先を甲側にグッと引き上げると、脹ら脛が1cmほど盛り上がり突き出る。

 鍛えた馬術競技者・インストラクターがやると、脹ら脛は2cm以上は固く突き出る。で、素人がやるように脚を一生懸命締めるようなことをせずに、この脹ら脛の筋肉の盛り上げで馬に指示を出せるという。

踵を下げると強い力がでる だが、初心者にはこんな筋肉の盛り上がりは期待できない。

 そこで、脚力で一生懸命締めて、馬体を圧迫して馬に指示を送ることになるが、この絵のように踵を下げておくと、つま先を下げた場合に比べ、比較的大きな力が出せる

 馬腹を圧迫する扶助に役立つことが踵を下げる効用の一つ。


・鐙の踏み方
 直角に踏まず、足の横幅のもっとも広いあたりに、斜めに足を掛ける。

 「小指側に加重」という教本もあるが、普通は親指側に荷重。

 鐙に深く足を突っ込むと脚が自由に動かなくなる。それに、落馬したとき足が鐙から抜けず、馬に引きずられることになって大変危険。足は必ず浅く掛けなくてはいけない。ただし、障碍を跳ぶときはしっかり鐙を踏みしめるために、多少深く履いてもよいという。

 うまく踏めない、外れてしまう、深くなりすぎる、つま先が開いて平行にできない、などなど鐙の悩みは多いが、こんな悩みは立ち乗りの練習をみっちりやれば雲散してしまうのではないかと思う。

 「踝(くるぶし)を柔らかくすれば 足の重さで踵が下がる」というけれど、これもなかなか感覚が解らない。練習のためには、立ち乗りで、鐙につま先立ちになって数歩馬を進めて、踵をがくんと意識的に押し下げて、踵を下げたまま数歩馬を進める、というのを繰えしているうちに、踵を弾力的に使う感じがつかめるかもしれない。


・鐙への体重の掛け方
 「体重は坐骨で受けて鞍にしっかり伝え、基本的に鐙には体重を掛けない」というがどうなんだろう。

 教本には、鐙と足の間に煎餅を置いてこれを踏みつぶすなというようなことが書かれているが、うんと上達したらそうかもしれないが、立ち乗りの練習などしていると、初歩のころはしっかり鐙に体重(の一部や全部)を掛けても良いのではないかと思えてきた。
・つま先を開く角度
 つま先を開いてはいけないという教本が沢山ある。しかし、H先生は「逆ハの字に開いて」も良いと言う。

 要は、多少開いても良いけれど、それで拍車がしょっちゅう馬腹を突き刺すようではダメ。普段は拍車が馬腹に触らない程度に、前に向けておけばよいという感じらしい。
これはNG 完全平行
 これはやりすぎ。両足が完全に平行になるまで前を向いている。

 教本によっては、足が前後に動きやすくなるから平行にしなくてはダメと書いてあるものもあるけれども、これだと膝に強いストレスが掛かる。

 CR2には、絶対に平行にしなければいけないと主張するインストラクタは40歳と若いのに杖をついて歩いているという皮肉が書いてある。


つま先を前に向けすぎ
 これもつま先を前に向けすぎ。H先生はもっと開けと言う。

 しかし、多くの教本はこれくらい前に向けろと書いてある。

 拍車の棒の長い物を付けていると、これぐらい前を向けないと拍車が馬に突き刺さるかもしれない。

太腿と足の向きが同じお勧めな向き
 太ももの向きと同じくらいにつま先を開く。この程度を許容している本は結構ある。

 CR2でもこの「太腿(ふともも)と足が同じ角度で外を向いている」のがお勧め。

 脚が安定し、馬体を圧迫する大きな力も出せる。H先生はもっと開いて良いと言う。

 こんなに開くと拍車が馬体に突き刺さってダメだという話もあるが、それならば短い拍車を使えばよい。


開きすぎNG
 これはさすがに開きすぎ。

 ほとんど全部の教本はこんなに開いてはダメと言う。

 それに、こんなに開くと不思議と坐骨が前にたおれ気味になる。
この点でもこれではダメ。

・股関節 膝関節
 基本的には股や脚で馬にしがみついてはいけない。「股に力が入っている、もっと膝をぐらぐらさせて」ともよく言われる。バランス以外に体を支えるものが無い裸馬でも同じ、股で馬体にしがみ付いてはいけない。

  馬に跨ったあと 膝を内外にばたばた・ぐらぐらと動かして膝を自由にしておく感覚を確かめると良い。ちなみにたとえば右膝で鞍の右のニーロール部分を強く圧迫すると馬は右の肩甲骨部分が圧迫されて右前脚の運動が制限されてしまうそうで、これで曲がり具合をコントロールできるという。

・まとめ
良い踏み方
踵を下げたよい踏み方
 鐙には浅く足を掛けて、親指側に重さを載せる

  つま先を開いて踵を落とし、足の裏の親指側で鐙を踏む。親指側で乗ることがとても大切。

悪い踏み方
つま先が下がった悪い踏み方
 踵が上がると どうしても鐙に深く足を突っ込むようになるし、足がブラブラと安定しない。

 また前方に落馬しそうになっても、脚で上体を支えることができない。


  今は、鐙の踏み方についてはCRに解説されている以下の方法がとても良いと思う。

(1)踵(かかと)を下げようとして力を入れて(筋力で)踵をさげると、踝(くるぶし)の柔らかさが失われる。

(2)足の指をブーツの中で広げる(足の指をギュッと曲げると踝が固くなる)、広げた指でピアノを軽く弾くようなつもりで動かす。全部の指が同じ重さを支えていると感じるまで続ける。

(3)(1)で全部の指が同じ重さを支える感じになったら踝は十分に柔らかくなっている。

(4)踝を柔らかく乗っていられるためには、踝は股関節の真下になければいけない。股関節より前に踝がでていると柔軟性は失われる。

(5)踵はアキレス腱の伸びが許す以上には下げられない。生まれつきアキレス腱が短く踵が下がらない人もいるが心配ない。踝が柔らかく自由に使えれば踵が下がらなくても問題ない。

(6)足を平行にせよと指導されることがあるだろうが、無理に平行にしようとすると肢の柔軟性が失われ、足の外側に荷重しがちになる。力をいれなくても肢が自然にぶら下がっている状態なら足は自然に平行に近くなる。<<< これは普通に鞍に跨って足をだらんと下げただけでは無理。CRに説明されている太腿を下げて乗る方法(以下の説明参照)だと、平行にはならずとも普通に足をだらんとさげたよりもずっと平行に近くなり、すこぶる具合が良い。

・CRに説明されている太腿を下げて乗る方法:
(1)太腿を前に出すのではなく、大腿骨(だいたいこつ)を外側に回して(左脚なら上から見て時計回り)腿(もも)を馬腹に沿って真下に垂らす。

 股間、太腿上部内側前が面となって鞍の鐙革托鐶の上あたりを覆うようなイメージを持つ。(この絵はイメージのまま絵にしているので、坐骨が鞍壺のかなり前によっているが、実際はこんなに前には寄らず鞍壺に座る。)

(2)膝から下の肢(下腿)は切り離されて紐で吊り下げられているイメージを持つ。

 この騎座で乗ると、不思議なことに、鐙がどうこうしたという意識がどこかへ行ってしまい、非常に軽く鐙に乗れる。体重が坐骨だけでなく太腿の付け根、股間、尻と広く分散され鐙には重さがほとんどかからないようになるからだろうか?試してみる価値はある。鐙の感覚が一新する。


脚の使い方 鐙の踏み方へ このページ先頭へ 鐙の踏み変えへ 受け売り乗馬教室先頭ページに戻る
 鞍に跨がって上体をまっすぐ安定な姿勢を保つ技術の次に覚えなければいけないのが脚の使い方(脚による扶助)。

 馬の推進力は、脚による扶助から生まれる。そして、推進力がなければ、ハミ受けもできないし、馬術的にきれいな動き(後肢を踏み込んで体重を支える)ができない。だから、脚の使い方はとても大切。

 馬の肢が地面について体重を支えている(地面から離れられない)状態で脚を使っても、効果は薄い。馬の肢が持ち上がるタイミングで脚を使うのが効果的。

 だから、上達のためには(下を向いて馬の肢を見ずに)騎座から伝わる感覚で馬の四肢がどういう状態か判る知覚が必要だという。

 また、脚を常に馬腹に着けておくべきか、いやそんなことをすると馬が脚扶助に鈍感になる、といういう議論があるが、脚は常に馬腹にやさしく触れさせておくのが良いらしい。脚を静かにつけておけば、馬からのメッセージを聞くこともできるし、馬の肢の位置も判るという。

 RRによれば「(脚を馬体から離しておくと)脚の支えが無くなり(馬が)乗り手の存在を忘れると、怖いと感じたときにまず反応し、考えるのを後回しにする可能性が高まる」という。

 I先生は脚の前後の位置による扶助の意味の違いを下の絵のように強調する。


・腹帯のすぐ後ろは前進の扶助、
・そのやや後ろは馬を横に動かすための扶助、
・そのもっと後ろ(腹帯から20cm以上後ろ)は後退の扶助。

 踵の位置で絵を描いてあるが、踵で扶助しろという意味でなく、基本は脹脛による圧迫。

 斜め横足をやるときは、この横に動かす扶助の位置で脚を使えと言う。前肢旋回のときは後退の扶助の位置で片一方の脚だけを使えと言う。たしかに、その位置で脚を使うとちゃんと動いてくれる。後退の扶助で左右の力のバランスが悪いと、「ほら、前肢回転の扶助と(馬が)勘違いをしている」と指摘されるように、馬は前肢回転をしてしまう。


・馬を推進させる脚の使い方

 推進のための扶助はのべつ使うのでなく、馬が扶助を理解して元気に歩き(走り)だしたら扶助を控える。

 これはどんな扶助にも共通で、馬が扶助に従っているのに同じ扶助を続けることは、「そういう意味じゃないぞ」と馬に教えていることになったりするので要注意。扶助は、馬がそれに従ったら控えて、従わなかったら、より強く馬が従うまで続けるのが原則。

 ただし、扶助に従ってくれないときに、従うまでどんどん圧迫を強めろということでも無いという。RRでは「反応が鈍い馬の場合、脚扶助を強めれば強めるほどやる気がなくなるものです」という。こういう時は、適宜鞭を使って合図を送るべきだという。

圧迫位置
脹脛で馬体を圧迫 ふくらはぎ(脹脛)の内側やや上部を使って馬の腹(左の絵の緑の矢印部分)を圧迫して馬に推進を指示。

 圧迫は両側から同時に(常歩のときは左右交互に)行う。

 この扶助を強く行っても馬が反応しない場合は、踵で圧迫。

 それでもダメなら踵で軽打。拍車を付けている場合は拍車でこするように圧迫。(拍車は突き刺すように強く使え、ただしここぞと言うときだけ、という教本もある)

 それでもダメなら鞭を使う。とにかくいったん指示をだしたら、その指示に従うまで扶助を強めて、従ったらすぐに扶助をやめるようにすることが大切。

 次はまた軽い扶助から始める。

・馬を曲がらせるための脚の使い方

 馬を曲がらせる場合、基本は体重と脚による扶助を主として、手綱による扶助は補助的に考えよと先生は言う。

 一般的には、内方脚を主に使って曲がらせる。しかし、内方脚でなく外方脚で曲げよという方法もある。内方手綱で馬の首を曲がる方向へリードし、外方脚で蹴る(圧迫する?)方法がこちらに紹介されている。どちらが正しいのかは判らないが、どちらにせよその馬が調教されたやり方でないと曲がってくれないことはたしか。

 H先生のやり方は、右に曲がりたい場合、この絵のように、右足(内方脚、回転内側の足)をやや前方に出して、足首を時計回りに回して踵を通常より10cmほど前方に出してから、脹脛から踵上部をつかって馬腹をギュッと圧迫する。

 圧迫したらすぐに緩める。

 曲がる角度のきつさに応じて圧迫の強さ、頻度を加減。

 左足(外方脚、回転外側の足)は普通の位置よりも後方に引いて、圧迫する必要は無いが、馬体に密着させておく。

 左脚を強く意識すると、体勢が左(回転外側)に傾くことがあるので注意。

 H先生は教本には必ず書いてある回転外側の脚は引け、ということ余り強調しない。そこで、「外側の脚を引けというのはこんな具合でいいんですか?」と左のバツを描いた絵のように踵を後ろに振って脚を後ろにずらせたところ、それは違うといわれた。

 で、教わったのが右の丸を描いた絵のように太ももぐっと引いて腿全体を(膝も含めて)後ろにさげる方法。

 股関節の固い私にはほとんどできなかった。なるほど教えてくれない訳だ。

 無理にやろうとすると、この絵では左腰が後ろに下がって、相対的に右腰が前に出ざるを得ない。これは、右回転するときは、右の脚で馬腹を圧迫するときに右足に乗り込むようにし体重を移動させろ、と教えられたこととは合致。


 今では、上のようなことを余り意識せずとも、RRで言うように、「(内方の腰を斜め前に出し)内方脚で段を一段降りる」と考えるのが、体重による扶助にも合致していて、しかも簡単で良いように思う。こうすると、外方脚は自然に後ろへ引かれる。内方の鐙を踏み込む力で内方脚による圧迫も自然にできる。

 ところで、H先生に「右足で圧迫するとなぜ押した左側へ行かないで右に曲がるのですか?」と聞いてみた。「わき腹を突っつかれたら、突っつかれた側をキュッと縮めるでしょ。これで、突っつかれた側を内側にして馬体が湾曲することになるから、突っつかれた側に曲がるんですよ。だから連続的にぐいぐい押していると、それは押されるのがいやだから押された反対側へ動く(右脚で圧迫すれば、左へ動く)。曲げるときは、キュッと圧迫してすぐ放すのがポイント」というお話。なるほどねぇ。

 が、いろいろ技術書を読んで見ると、上の話は100%鵜呑みにもできないらしい。RRによれば、内方脚による圧迫と外方手綱による半減却の扶助によって(内方脚圧迫と外方手綱を控えるを短時間に(馬の肢の動きに合わせて)交互に繰り返すことで)馬に内方姿勢を取らせることができ、これが馬の動きを改善する鍵になるという。そしてこれが、斜体扶助という魔法の杖になるらしい。


 M先生に教わった曲がり方は、上に説明したH先生のやり方と全然違う。

 先生の考え方によって、調教も違っているようだが、M先生の教えは明快で判り易い。しかし、馬を曲げる原理としてこういう方法を明確に謳っている教本は少ない。

 M先生曰く、「(常歩で曲がるのは)歩きながら行う連続した前肢旋回だ」 だから、右へ曲がるためには、

①右脚を大きく後ろへ引いて(後方で脚を使って)馬腹を圧迫し、馬の後躯を左へ寄せて、右後肢を左後肢の前に踏み込ませる。(左へ前肢旋回の要領、後躯が左へ動く「左へ前肢旋回」をすると馬の頭は右へ回る。)

②左手綱をしっかり抑えて、馬が左前斜め横足のように左前方方向へ運動することを抑える。

③右手綱は心持ち開いて、右前方へ進むよう誘導する。

④後躯が左へ寄りすぎないように、左脚で抑えて曲がりを調整する。

⑤この間、前進気勢が落ちないように推進は続ける。

 というもの。たしかに、前方へ歩きながらの前肢旋回という言葉がぴったりくる。

 だから、「右周りの輪乗りをするときは、右脚を後ろに引いて使え」と言うわけで、多くの馬術書に解説されている馬を輪線(りんせん)運動させるときに馬体を屈撓させる方法(内方脚は腹帯付近、外方脚を後ろに引いて使う)とは全然違う

 ただ、回転は進みながら行う前肢旋回だという説明をしている教本も存在するから、いろいろなやり方があるということだろうが、こういう調教をされているせいか、M先生のところの馬は、このやり方できれいに曲がってくれる。

 ただ、M先生にこれを習ったときに、「このやり方だと後肢が大回りしてしまうから、前肢の踏み跡を後肢に踏ませて、蹄跡を一本にするということができるのだろうか?前肢と後肢で蹄跡が2本になってしまうのでは?」と疑問だったが、自転車の轍を考えると、これでも良いのかと思えてきた。

 下の図は、自転車が回転運動をしているところ。進行方向は上向。

 左端は普通の自転車(後輪は曲がらない)で前輪を曲げて方向を決める場合。この場合、前輪(太い短い青線)の轍(青)と後輪(太い短い赤線)の轍(赤)の2本の轍ができる。自動車でいう内輪差。

 中央は、後肢だけ左側によせる前肢旋回での右カーブ。前輪は真っ直ぐで後輪でハンドルを切るようなものだから、後輪の轍(赤)は前輪の轍(青)よりも大きくなって、やはり2本の轍ができる。

 右端は、前輪と後輪両方でハンドルを切った場合(前肢を馬体(茶色い線)の向きより右へ、後肢を馬体の向きより左へ移して曲がる)、前後のハンドルを同じだけ切れば内輪差はできず、轍は緑の一本線となる。

 だから、連続した前肢旋回+前肢は手綱で内方へ誘導、 ということできれいな一本の蹄跡ができそうだ。


・馬を横に寄せるための脚の使い方

 馬が蹄跡からずれて歩いて(走って)いる場合に、蹄跡に戻すためには馬を寄せたい側の反対側の脚の脹脛およびその下部(踝あたり)を使って、腹帯のやや後ろを強く連続して圧迫。


 通常脚が置かれている位置を前後させずに圧迫(普通よりやや後ろ)がよいという教本もある。I先生は普通より後ろ派)、馬が横によったら圧迫を止める。

 このとき反対側の脚は馬体に圧力をかけないように、充分に緩めておく。特に膝で馬体を圧迫しないように注意。

 反対側が緩んでいないと横によってくれない。



・半減却

 半減却というのは、教本などを読んでもよく判らないものだった。まあ、何かやりたいときに予告として脚で馬体をギューと絞めて馬の後肢を踏み込ませて、乗り手に注意を向けさせるのかなぁくらいの理解だった。だいたい「半減却」という文字の意味もなんだか解らない。英語では「half-halt」(半分-停止)だから、「半停止」のほうが判り易く、摩訶不思議感が無くて良いと思うのだが、、、。

 Wikipediaで「half-halt」を見ると、次のように判り易い説明があった。「half-halt」の目的は後肢を踏み込ませて馬のバランスを良くさせ、次に何かやるよと馬に注意を与えて、次の運動の準備をさせることである。また、「half-halt」を何度も繰り返し用いて、馬を収縮(collect)をさせることもできる。「half-halt」のやり方は、推進と抑止を極く短い時間に続けざまに(推進後すぐに抑止、あるいは、抑止後すぐ推進でも可)与えるもので、馬にバランスよく停止する準備をさせるけれども歩様を継続させるものだと説明されている。

 抑止も推進も瞬間的であるべきで長く続けてはいけないし、歩様が変わる(駈歩が速歩になるなど)ほど強くてはいけない。抑止は手綱を控えてもよいらしいのだが、上級者が良く訓練された馬に乗るなら、(手綱などに頼らなくても)騎座を深くすることで抑止になるらしい。

 ところで、この「次になにかやるよと準備をさせる」ということにつき、馬はそのような理解の仕方はできない、馬は一度にひとつのことしか理解できず。ひとつの扶助に対してはひとつの意味しか理解しない、という趣旨のコメントをこのHPの読者からいただいた。馬の扶助に対する理解は単純であり、複数ステップを踏む複雑な思考過程は馬にはできない、というご指摘。これにはとても同感できる。ただ、私はまだ半減却をきちんと理解できてておらずWikipediaの記事の正誤は判らない。

 それにしても半減却を具体的にやる方法は結構複雑で難しいように思うが、RR(リアルライディング)に半減却について、以下のようなとても分かり易い説明があった。

 即ち、「止まろうと考えて、ほんのちょっとだけ停止の準備をして、結局止まらずに馬を進めたらハーフホルトが出来たことになる」と。こんなんでいいんだろうかと思うくらい初心者にはありがたい説明(お墨付き?)。このハーフホルトの合図「停止。いや気が変わったぞ、どうぞ続けて」に馬が反応しないなら、完全な停止と発進を繰り返して馬の感度を上げて練習しろという。うーん分かり易い説明、ありがたい。

・馬を叱る脚の使い方

 馬を叱る必要があるときは、基本的には鞭を使う。

 鞭を持ったずに乗っていて馬を叱る必要のあるときは、両方の踵で馬腹を強く蹴る。前へ進めとかいっているのではなく、叱っているのだと解るように、思いきり強く踵を蹴り入れる。馬が驚いてバッと駆け出すかもしれないので、あらかじめ手綱を充分控えておいて駆けださないようにしておく。また、万一駆けだされてもよいように体勢を整えておいてから蹴り入れる。

 ただし、叱らなくてはいけないことをしてから1秒以内に叱らないと、馬はなぜ叱られているか理解できないというから、叱るタイミングを逃したら、叱るのはあきらめること。腹立ち紛れに叱っても良いことは何もないという。

 それに、そもそも馬は叱られているということを理解しないとう話があるから、叱って矯正しようという考えは捨てておいた方がよいかもしれない。


鐙の踏み変え 脚の使い方へ このページ先頭へ 鐙革の長さの調整へ 受け売り乗馬教室先頭ページに戻る

 最初は鐙に浅く足をかけていても運動していると、いつのまにか鐙が深くなってしまう。鐙が深くなったら 馬の運動は継続させたまま鐙を浅く踏み直せなければいけない。慣れないとこれが難しく、鐙が思うようにスッと浅い位置にずれてくれない。

 しかし これも踵をしっかり下げて乗れれば浅く踏みなおすのにさほどの苦労をしなくて済むようになる。
鐙の踏みかえ悪いやり方 鐙への踏み込みが深くなったからといって、スリッパを脱ぐように踵を上げて足を後ろに引いても、スリッパならこれで簡単に脱げるが、鐙の場合はうまくいかない。

 鐙は鐙革で空中につられているから、足を引いても鐙がブランコのように足についてきて(黄色い矢印)抜けない。

鐙の踏み込みを浅くするには、鐙の踏みかえ良いやり方この絵のように踵を下げてつま先を上げる。そうしておいて、足を、後ろに引くのでなく、上に持ち上げて鐙から足を浮かせる。

  すると鐙は足から離れてぶらぶらの状態になり前後に自由に揺れて、これで自然と鐙は足から抜ける方向、踏み込みが浅くなる方向へ動く(小さな黄色の矢印)。


 時々、あまりに鐙への踏み込みが深くなってこの絵のように拍車ベルトや留め金具に鐙が引っ掛かって足が抜けなくなることがある。このような場合は、上に説明したやり方では抜けない。

 絵の右側のように、踵を無理やり押し下げることで鐙の上部と足の甲との間に隙間をつくり、引っ掛かっている拍車ベルト(留め紐)などを外す。

  引っ掛かりが外れたら、先に説明したやりかたで踏み込みを浅くする。


鐙革の長さの調整 鐙の踏み変えへ このページ先頭へ 拍車の使い方へ 受け売り乗馬教室先頭ページに戻る

鐙の長さアイコン 鐙革の長さは乗る前に調整しておく。調整は下の絵のように鞍の真横に立って行う。

 調整している間に馬が動いてどこかに行ってしまわないように、伸ばした右手を手綱の輪にとおしておくか、あるいは、左手で鐙といっしょに手綱をにぎっておく。

 馬の乗り降りには左側の鐙を使うので左側の鐙革が右よりも伸びてしまう。このため、左右同じ番号にあわせて鐙の長さを調整しても、長さが同じになるとは限らない。番号は目安として使い、調整は正面から見た左右の鐙の高さ、および、乗ってからの左右の鐙を踏んだ感覚でチェックする。

 左右の鐙革の長さが違ってくることを避けるために、ときどき鐙革の左右を入れ替えるとよい。

鐙革の長さ 馬の脇に立って 片手の指先を鐙革を止める留め金(鐙革托鐶)に添えて、もう一方の手で鐙をもって脇のしたに当てたとき脇のしたまで鐙がピンと張って届けばちょうど良い長さ。

 調整後は馬の前方に回って正面から左右の鐙を見て高さがそろっているか確認する。

 揃っていない場合は長さを調節する。  

 障害を跳ぶ場合は通常より短くして、鐙の上に立って腰を浮かせたときにお尻と鞍の距離を充分に取れるようにしておく。

 余談だが、日本では「鐙を短く」とか「長く」とか言うが、英語では「longer(長く)、shorter(短く)」ではすぐには通じない。「higher(高く)、lower(低く)」と言う。発想の違いがあって面白い。

 馬に乗ってから調整する場合は下の図のように調整する側の脚を前にずらせて 片手で鐙革を引き上げて調整。調整後は 鐙革のバックルが鞍の鐙を留める金具(鐙革托鐶)にしっかりと密着するように戻しておく。きちんと戻っていないとその部分が出っ張って内股を擦りむくことがある。脚を後ろにずらせて 脚の前に鐙革を引っ張り揚げて調節する というやり方を見たことがあるが 前と後ろ どちらにずらせて調節するのが良いのか判らない。

鐙革の長さの調整 乗ってからの鐙の調整(1)鐙革の余っている部分を引き抜いて
(2)上方へ引っ張ってバックル部分を鞍の留め金から引き上げ、バックルのピンを外して
(3)バックルを前後させて長さを調節し、バックルのピンを鐙革の穴に通して長さを固定。
(4)バックルを鞍の留め金(鐙革托鐶)にぴたっと張り付くように戻し、余った鐙革をもとのように戻す。
手順 鐙皮の長さの調整


 鐙革の長さを調整後は、上の(4)の説明のように、バックルを鐙革托鐶にピタリとはまり込むように戻す。普通は、鐙革の内側(鞍に近い側)を手で押し下げて戻す。ところが鐙革が分厚く硬い場合には鐙革托鐶と鐙皮のすべりが悪く、手の力では押し下げられないことがよくある。こんな場合は、手ではなく足の力を使う。

馬上から鐙皮のバックルを戻す
 右足の鐙を戻す例を前から見たもの。
 右足の膝を緩めて鞍から離して、膝の内側に右手を下して、鐙革の外側(鞍から遠い側)の鐙革をバックルのしたの部分を右手で親指が上を向くように握って大きく上に引き上げる。右足は鐙に掛けたまま、真ん中の絵のように軽く持ち上げ。

 次に右手は鐙革を引っ張り上げたまま、右足で鐙を強く踏みおろし、足の力で鐙革の内側を引き下ろす。手の力よりも数倍大きなあしの力を使うので楽にできる。

  バックルが托鐶にぴたりとはまり込むまでこの操作を何回か繰り返す。だいたい二回ほどやればピタリとはまる。


拍車の使い方 鐙革の長さの調整へ このページ先頭へ 受け売り乗馬教室先頭ページに戻る

 馬によっては拍車を嫌って、拍車を当てると尻っぱねをしたりするものもいる。こういう馬に拍車を外して乗っていたら「拍車はどうしたの?」「嫌うようなので外しました」「ちょっと反抗されたぐらいで、弱気に外してどうするの。そのくらいは押さえ込んでしまえなきゃだめだよ」とI先生に言われたことがある。

 拍車を嫌ってちょっと跳ねれば、拍車から逃れられると馬に教え込むことは、いやなことからは跳ねれば逃れられると馬に教えていることになり、人の手に負えない癖馬に育てているのと同じこと。反抗は押さえ込んで、指示を貫徹させなければいけない。

 とはいえ、跳ねられても「コラ、逆らうんじゃない」と拍車を使い続けられるにはちょっと技量がいる。だいたいは「これりゃあ危ない、落とされるかも」とビビッて馬の言うことを聞いてしまうから、拍車や鞭に反抗して尻っぱねをする馬はけっこうあちこちに居る。

 外乗などでは、拍車が強くあたるとすっとんでいく可能性もあり危険だということで、外してくれと言われることが多い。

 特殊な形の拍車でなければ、拍車には左右の違いは無く、左右同形。

 棒状の拍車などでは上下の向きの違いがあり、拍車の棒の部分が、左の絵のようにやや下を向くようになるのが正しい装着方向。

 拍車革は、乗馬のガイドライン第一巻によれば、この絵のように通す。(以前これとは違った付け方を紹介していたことをお詫びします)

 装着位置は踵から指4,5本分上の高さのところ。長靴などに拍車台がついていれば、台の上に固定させればだいたいはその位置になる。拍車は水平に取り付けなくてはいけない。

これは 左足に装着した拍車を前から見た絵
 左側のように留め金が拍車に近くなりすぎると、足を鐙に突っ込み過ぎた(鐙が深くなり過ぎた)ときに、鐙に拍車の留め金具が引っ掛かって足が鐙から抜けなくなる可能性があって危険。


 右側のように留め金具が足の甲よりになっていると、鐙に引っ掛かる可能性が低い。

これは左足に装着した拍車を左後方から見た絵
 この絵のように、金具(小さなバックル)を締めて、余った部分が体の外側(この絵では左側)に垂れるようになっていなければ左右が間違っている。

 危険防止のためと、出っ張った金具などで馬体を傷つけないように、金具の類が外側にくるようにする。身につけるものの左右が判らなかったら、この原則で。

 叱るために使う場合以外は、拍車は強く当ててはいけない。気が付かないうちに拍車が強く入ってしまうことを避けるために、慣れないうちは、拍車の棒は短めのものを選んだ方が無難。私の乗り方を見てI先生は、拍車を棒の長さのもっと短いものに代えた方が良いコメントをくれた。ちなみにその時は上の絵のような棒拍車の長さ3cmのものを使っていた。一番短い1.5cmのもので良いのだと思う。

鐙のつけ方 拍車をつけての騎乗を後ろから見た絵。
 特に鐙革を短くしたりしていなければ、足先を多少開いても、拍車は馬体に触れることはない。

 これで拍車があたるようなら短い拍車に代えた方が良い。


鐙の使い方 拍車を使う場合は、このように脹脛をグッと締めて拍車が馬腹に触れるようにする。

 強く当てる必要はなく、脹脛の締め加減で、拍車が馬腹に触れているかいないかが判るようにならなければいけない。


鐙の使い方上の絵を横から見たもの。

 足首を動かさず、脹脛から踝を使って馬腹を圧迫することで拍車が馬腹に当たるようにする。



 これは、I先生に習った方法で、拍車は下から擦りあげるように使う。

 この方法だと、推進しようとすると踵が上がってしまうことが癖にる心配がある。

 H先生は踵でぐりぐりやることになるからダメだと言うが、こう使えと書いてある本は多い。

 ただし、欧州の教科書には、拍車は突き刺すように鋭く使えと書いてあるものが多い

この馬だと足をダランと下げると拍車は馬腹にあたらない。ちょっと足を上げて常に拍車が軽く当たるようにしてるので、駈歩のペースもやや速め。もっと踵を下げなければいけないのだが、ついさぼり、というか裸馬で踵を下げておく筋力がない。




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